土曜日
今日は、全く目的地もルートも決めずに、なんとなく都内へ行こうと歩き出した。
通常、丸一日歩く時は、目的地とルートを地図にマークして、通過時刻をある程度予測して地図に書き込んで歩いている。 こんなユルイ散歩は、珍しい。

綾瀬駅の東出口を出てると、駐輪場の前に橋の欄干が残っている。駐輪場の脇を歩いて行くと、あちこちに橋の欄干だけが残っている。
「元隅田川」と刻まれている。歩いて行くと、小菅の白鷺公園の古隅田川にぶつかる。ぶつかった所で下を見ると、川になっていた。
小菅の下水道局の所で、荒川堤に登る。
朝日に照らされた街並みが、なかなかだ。

堀切橋で荒川を渡る。首都高が、もう混み始めている。
久しぶりに南千住側へ、隅田川を渡る。
堤の道を歩いて行くと、記憶よりも東京ガスのガスタンクが、やたらと良く見える。
白髭橋の所で明治通りを渡ったところで、三ノ輪から谷中へ行こうと思いついた。

この辺は。山谷と呼ばれる地域。
直ぐに頭に浮かんだのは、玉姫公園。
あしたのジョーで、矢吹丈が丹下段平と出会った場所。
相変わらず、ごみごみした公園で、さえない老人たちが集まっていた。
南千住への大きな通りに出ると、明治通りとの交差点は「泪橋」。あしたのジョーでは、丹下拳闘クラブは、泪橋の下に作られていた。
そんなふうにマンガ「あしたのジョー」を思い浮かべて、ありふれた街並みを歩いた。
ふと、商店街らしい屋根が路地から見えたので、気にかかって行ってみた。
台東区日本堤のいろは会商店街には、なんと、ジョーや段平のおっちゃんの絵が、あちこちにある。
ワシ、上野勤務のときは、気づかなかった。
商店街の西端には、あしたのジョーの等身大フィギュアがある。

竜泉3丁目の「一葉記念館」は、はたしてどれなのか判らず仕舞い。
公園の横の道は、その部分だけ石畳になっていて、ここが一葉記念公園らしい。
まだ8時前なので、開いていないので判らないのかも。

国際通りと昭和通りの間に、千束稲荷神社がある。
ここも、「樋口一葉のたけくらべ」ゆかりの地。
樋口一葉の胸像があった。
実に真新しい。いつ出来たのだろうか。
昭和通りを渡って、根岸と東日暮里の境界にあたる、ゆったりとうねる道を歩いて、日暮里駅へ。

道の途中のマンションに、なぜか門が建っている。
同じように、マンションの敷地に古い門が建っているところが、国分寺にあったっけ。
この門も、この敷地に以前あった屋敷のものかな。

日暮里駅前には、太田道灌の騎馬像があった。
日暮里駅を通り抜け、谷中の夕焼けだんだんを下る。
猫がいなかった。
懐かしいヘビ道を歩き、みかどパンの三叉路から、谷中霊園の入口へ。寛永寺へ行き、東京博物館の周囲をぐるりと廻って、博物館の中を歩きたいなぁと思った。
博物館の正面入り口へ廻ると、今「日本国宝展」が開催されていて、開園前の行列が長い。
諦めて、上野公園をぶらぶら。

上野公園は、イチョウの黄色が目立った。
上野公園からパンダ橋で上野駅へ渡って、浅草通りを東へ。
3年前に勤めていた事務所のビルは無くなっていて、マンションの建設工事中。
懐かしい下谷神社に立ち寄ると、そこには何故かアヒルが一羽いた。
東京駅を八重洲口から地下街を通って、丸の内南口へ出て皇居へ向かうと、もの凄い人の列。
乾門の一般公開に、押し寄せた人たちだった。
日比谷通りから日比谷公園に入り、公園内を初めてじっくりと見た。

東京タワー。
芝公園の黄色いイチョウの向こうに、赤いタワーが良く似合う。
東京タワーは、スカイツリーと比べると、造形美を感じる。失礼な言い方だが、スカイツリーは電信柱のようだ。
芝園橋を渡って、ふと赤羽橋へ行ってみようと思いついた。
この赤羽橋から見る東京タワーは、見栄えがいい。
4年前、北区赤羽で外国人夫婦から、東京タワーの映った「赤羽橋」のパンフレットを示され、「赤羽橋はどこですか」と尋ねられて困ったことを思い出す。
高輪の泉岳寺。

来週が、討ち入り。
義士祭の幟が建ち、今日も沢山の人が墓参に訪れる。
山門の横に、何やら建設中。
以前、話題になった、8階建てのマンションらしい。お寺では「建設反対」の、貼り紙があちこちに。
建築主は、第一リアルター株式会社。建設業者は、ナカノフドー建設。地上8階、高さ23.83m。
場所は、利便性抜群だが、47士の墓の前では、安心して住めないのではないか。
品川駅前を通り抜け、八ツ山橋を渡って京急の踏切で待つと、日本医大行の北総線の車両が通り過ぎる。
ここから、北品川の旧東海道を歩く。
先週の「噂の東京マガジン」で紹介されたせいか、ワシと同じように歩く人がいる。

北品川からの道は、東側の新しい道より、一段高い。
昔からの土地である証拠だ。
古い造りの店が、あちこちにある。

「噂の東京マガジン」に登場した畳屋は、その通りにあった。
本当に、縫着機も無く、手で縁を付けていた。しかも、たった一人だ。よっぽど仕事が少ないのか。
それとも、古い料理屋やお寺などの、いいお客をガッチリ掴んでいるからなのか。
今やっているのは、六畳の間の畳の表替え。
よく見ると、仕事場の店は古いが、隣にちゃんと新しい造りの住居がある。

六郷土手に上り、多摩川左岸を遡る。
向にラジオ日本のアンテナを見ながら堤を進むと、次第に雲が薄くなり夕日が少し顔を出す。
多摩川大橋の下を通り、下丸子方面へ歩いて行く。
次第に暗くなって来たので、堤を下りて池上本門寺方面へ向かった。
東急池上線では、帰りが面倒かなと思って、歩きながら地図を見ていたら、第二京浜の先に都営浅草線の西馬込駅を見つけた。
これはラッキーだった。
西馬込の駅の入口に、「馬込文士村案内」という大きな掲示板があった。
ワシでも知っている人が、数名載っていた。
今度は、これを目指すか。
今日の日常